町の桜が終わりかけたこの頃、君津の松原伸生先生の工房は春爛漫。
桜は満開、鶯が歌い、若葉がキラキラ光ってまぶしいくらいです。
一人参加の私は少し緊張しながらも、どんなものが出来るかとワクワクしていました。
というのは、以前参加された方の作品があまりに綺麗だったものですから。
静かな工房が笑い声やおしゃべりでにぎやかに満たされ、
いよいよ作業が始まりました。
松原先生がこれからの工程を説明しながら型にのせる糊を手際よく
つくっていきます。 藍に染まった先生の分厚い手がとても印象的でした。
第一線で活躍される工芸家の技や人柄に身近に
ふれる事が出来るのは、青年部ならではの体験ですね。
俄然熱を帯びるのは型紙選びです。
配置や組み合わせによって印象が全く違うからです。
難しいところは先生の手を借り、ずれそうになる型紙を
他の人に押えてもらって作業をすすめました。
長い板の間を皆が好き勝手に行き来する自由な雰囲気がとても心地よかったです。
糊が乾いた手ぬぐいを藍甕にそっと沈める時ばかりは
シンとして手元を見つめていました。
甕から上げた布がくすんだ緑色から徐々に藍色になっていく様は
なんともいえない感動です。
水で糊を洗い流したら固定液、色止め液に浸し、天日に干します。
そよ風にゆれる作品を見るとうれしくてうれしくて・・・。
乾きあがった手ぬぐいは鮮やかな深い藍に変わりました。
体験したのはほんの一部の工程ですが、一つの作品が仕上がるのに
多くの緻密な作業がある事を知り、藍染めがとても大切でいとおしいものに感じました。
(参加者談)